勝敗を左右する「試合前食事」 眠気・だるさでプレーの質低下も…学童王者が重視する“数値”

全日本学童軟式野球大会の東京都予選を4年ぶりに制した不動パイレーツ
今年の東京都の学童野球で、頂点に立ったのは目黒区の「不動パイレーツ」。6月14日に行われた「高円宮賜杯 第45回全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント東京都予選」決勝で「越中島ブレーブス」を14-5で破り、4年ぶり3度目の優勝を飾った。チームを率いる田中和彦監督は選手たちの食事にも細心の注意を払い、指導している。
「小学生の甲子園」と称される「マクドナルド・トーナメント」で一昨年は準優勝、昨年は3位に輝いた不動パイレーツ。今年は“東京王者”という勲章を手に全国舞台へコマを進めた。越中島ブレーブスとの決勝戦では11安打を放って14得点。田中監督は「よく打ってくれました」と目を細めた。
学童野球では、反発力を高めるウレタン素材などを配した一般用(大人用)複合バットの公式戦での使用が、今年から禁止された。それでも不動パイレーツを飛距離を追い求めて練習に励んでいる。重さ450グラブのサンドボールの他、小学用の軟式球であるJ号球(直径約69ミリ、重さ約129グラム)ではなく、一回り大きい中学用のM号球(直径約72ミリ、重さ約138グラム)を使用して打撃練習を行う。
重いボールを打つことでバットを押し込む感覚を掴み、パワーアップも図る。「1番から9番までオーバーフェンスできるような打線で全国舞台に臨みたいですね」と指揮官は8月11日に開幕する本大会を思い描いた。

試合前の食事にも細心の注意…低GI食品の摂取で集中力持続
万全の状態で試合に臨むために、工夫していることもある。試合前や同じ日に複数の試合が組まれている場合などで、選手に推奨しているのが低GI食品の摂取だ。GI値とは食事をした後の血糖値の上昇度を数値化したもの。高GI値の食品を摂ると血糖値が急上昇し、眠気やだるさ、集中力の低下などを招くとされている。
低GI食品は、食後の血糖値の上昇が穏やかになる食品。穀物ではスパゲティ、全粒粉パン、そば、果物ではリンゴ、イチゴ、野菜は葉物、ブロッコリー、ピーマン、そのほかにはキノコ類や牛乳、ヨーグルトなどが該当する。
かつてダブルヘッダーの合間に、高GIの食品を摂った選手のパフォーマンスが落ちて試合に敗れたことから、低GIの食品を摂るように指導している。「試合の入りが違ってきました。集中力を持続して試合に臨めていると思います」と効果を実感している。
本大会まで2か月弱。初の日本一に向け、「この夏にもう一回り体力とパワーをアップさせて大会に臨みたいです」と田中監督は力を込める。細やかな指導の下、激戦の東京を制した不動パイレーツ。全国舞台ではどんな戦いを見せてくれるだろうか。
(片倉尚文 / Naofumi Katakura)
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